2011年10月8日土曜日

種をつなぐこと

10月8日のテーマは「自家採種」でした。前半は、今年度最後となる坂本一雄さんの講義。「何故タネを買わずに自分で採るのか」という自家採種の理念をお話ししていただきました。現在、農家はもちろん、家庭菜園を行う人たちでも農協やホームセンターなどで種や苗を購入して栽培を行うのが一般的です。目的に合わせて品種改良したF1品種に多くの利点があることは認めつつも、それによって失われていくものがあることも知っておく必要があると思います。日本で使用されるほぼすべてのタネが外国で生産されている点も、現在の農業が危うい状況にあることを示しているのではないでしょうか。 その土地でもっとも育ちのよいものを選別して自らタネを採る、それを繰り返すことは、本来当たり前のことでした。
後半は実習です。まずは畑を一回りしながら作物の様子を観察し、完熟して乾いてきた豆やタネ取り用として収穫せずに大きく熟させたトマトやナス、キュウリなどの実、それに2年草であるゴボウやニンジン等のタネを採集しました。「自家採種」というと技術的に難しいことを想像しがちですが、豆類などは収穫した食用から色、形のよいものを選ぶのですから特別なことはありません。豆の選別は自給農において冬の大切な仕事です。 果菜類のタネ採りは、採った実を追熟させてからの方が良いので、3日前に収穫しておいたタネ取り用の実を用いて実習しました。実を包丁で割って、中の実を取り出すのです。キュウリやトマトなどのゼリーに包まれているタネは、水で洗ってから乾燥させます。 2年草の作物は少し難しいかもしれませんが、その年に採れるものの自家採種は思いの外、簡単です。どんなタネであれ、とりあえず採って播いて栽培し、再びタネを採る・・・販売されているものと同じ性質のものは得られませんが、自分だけの品種を作る楽しみも、家庭菜園や自給的栽培の魅力の一つ。是非皆さんに挑戦していただきたいと思っています。 (写真上オクラ、下キュウリ)
講師の坂本一雄さんは、自身の農園で120種以上の作物を自家採種しておられます。そこまで行うのは一朝一夕ではできませんが、数種類ずつでも自家採種する作物を増やすことで、栽培がより豊かで楽しいものになっていくと思います。 「1人で10品目を採種するのは大変なこと。でも1人1種ずつ採種し10人が協力することで、10種のタネを得られるのです」とは坂本さんの言葉です。身近な人たちで「タネ採りの輪」を広げていきませんか。

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