2011年7月30日土曜日

エディブルガーデン最盛期

夏のエコビレッジのランドマークとなっている直径14メートルのエディブルガーデン。ズッキーニやキュウリ、ピーマンなど果菜類の収穫が始まっています。最近暑さが続いたおかげでトマトも色づき、ゴーヤもすくすく伸びてきました。ズッキーニは甘くて柔らかく、生でも炒めても煮物でも美味しく人気です。隣りのボリジやタイムに寄ってくる蜂が、受粉を助けてくれるのでしょう。次々と実がついてあっという間にバットのように大きくなってしまいます。マリネや漬物にもしてみましたが、どうも他の調理法より味が落ちるようです。最近、ウチのスタッフは、ドライズッキーニの美味しさを発見しました。どなたかズッキーニの大量料理レシピを教えてください。
実際、自給自足を目指すには料理上手を目指す必要がありそうです。夏の最盛期に大量に採れる野菜を上手に加工保存しなくては、積雪期に食べるものがなくなってしまいますから。畑が一番忙しい夏に、その時間を確保するのはなかなか大変ですが、集団で菜園をやるメリットの一つは大勢でたくさんの加工ができたり、収穫物を分け合って食べられることです。昔は女性たちが漬物や乾物などの保存食をせっせと作ったのでしょうね。今では少人数家族になったり、家にスペースがなくなったりして、保存食はデパ地下に頼る生活になってしまいました。でも、やはり手作りは違いますよね。

それにしても、無農薬栽培なので、キャベツなどのアブラナ科はいつもボロボロです。ガーデンの美しい花に惹きつけられて、蝶も喜んでやってきますから、当然、青虫やアゲハの幼虫がいっぱいです。ガーデンではさすがにトンネルもかけられず、もっぱら手で捕殺しています。今日も朝から100匹以上捕ったかな。坂本先生はにっこりと虫たちにも微笑むそうですが、私は片っ端から捕ってます。え?鬼のようだなんて言わないでね。

2011年7月17日日曜日

今ホットなテーマ「コミュニティビジネス・ソーシャルビジネス」

今回のテーマはエコビレッジが最も苦手とする「ビジネス」。講師は国際大学観光学部教授で、北海道コミュニティビジネス・ソーシャルビジネス協議会の副会長、吉岡宏高先生です。
株でもうけて六本木ヒルズに住むエグゼクティヴが憧れだったひと昔前の若者に比べて、最近では「いい社会の実現」にやりがいを見出す「コミュニティビジネス・ソーシャルビジネス」が学生の関心の的とか。とても頼もしい話ですね。元気がないと言われる若者ですが、「お金」や「名声」よりも、弱者をサポートしたり、自然や文化を守ることに生きがいを感じてくれるなら、そんな社会には希望があると思えてきます。「24時間働けますか」なんてCM(古過ぎ?)にもあったような非人間的な暮らしではなく、自分のペースでのんびりと、という志向も強くなっているのでしょう。

「収入半分、ストレス半分」とは吉岡先生の言葉ですが、実際、私は役人を辞めて収入は半分以下になりましたが、ストレスフリーに近い生活を楽しんでいます。もっとも、「地域や弱者のための」仕事でなかなか稼げないのも世の事実です。それに、自分のやりたいことを実現するためにはのんびりしているわけにはいきません。正直、「休日」もなくなりました。でも、やっていることが好きだから「休みたい」という欲求もなくなったし、ストレスがなければ発散のためのお金も必要ないので問題はないのです。
ひたすら上司の文句を言ってる人や過酷な労働とストレスで健康を害している人を見ると、さっさと辞めてしまえばいいのにと心の中で思ったりします。でも、もうけなくてもいいけれど、自分が自立していくための必要最低限の収入は重要です。NPOだって、非営利、非分配が原則ですが、働いた分に対しての対価は当然認められるし、そのためには、戦略も組織マネジメントも求められます。「売るべきもの」と「売れるもの」を見極めるバランス感覚が大事という先生のお話に、全くだと思いました。NPO業界では「売るべきもの」に見方が偏り、いわゆる一般ビジネスでは「売れればいい」という発想だけになりがちですが、そのバランスがとれていれば、形態は何でもいいんですよね。

今日はビジネス立案を体験するグループワークに挑戦しました。エコビレッジを舞台に「学び」や「ツアー」をテーマにしたビジネスを考え、コンセプトや手法をまとめて発表しました。短時間にも関わらず、なかなか面白い案も出ていて感心しました。参加した人々は「考えを文字や図に表すことで、頭の中が整理された」「人と意見を交わしながら作っていくのが面白かった」と楽しんでいたようです。表現するプロセスで考えが深まったり、他人の意見に触発されて新しい発想が芽生えたりもします。NPO的な組織では、既存の会社組織や行政のようにトップダウン方式での意思決定ではなく、このようにインタラクティブに刺激しあいながら、構成員が主体的にかかわらなくてはいけません。そのための話し合いの方法なども大切だなと思いました。

コンポストは、「還す仕組み」




17日(日)総合コース。最初のテーマは、「堆肥・コンポスト」。
どちらも良く聞く言葉なのですが、実は曖昧としていて解釈がわかれていたりもします。そこで、バイオトイレ(写真左)やミミズコンポスト(写真右)、生ごみ用の段ボールコンポスト、屋外に積んである稲わら堆肥などを紹介し、実際に作業もしていただきながら、その原理や目的を考えてみました。

「堆肥=コンポスト」ととらえることもありますが、一般的には「コンポスト」は生ゴミや汚泥などの主に都市生活から出る廃棄物を処理することを目的とされるようです。バイオトイレ(コンポストトイレ)などは完全に「処理」を目的としたものですね。堆肥の方が、やや広義な言葉なのかもしれません。
ただ、本来の堆肥が植物由来の材料を使うのに対し、コンポストは場合によってはすべての残渣を処理したりもします。コモンハウスで使っている段ボール堆肥では、むしろ肉魚を投入した時の方が熱が高くなって早く処理されるという面もあります(入れすぎるとハエがわきやすくなるので良くありませんが)。

さまざまな方法、技術があって「難しい」「どれをすればいいのかわからない」、もしくは「材料として○○がなければならない」と考えてしまいがちですが、大事なのは「仕組み」を知ることなのだと思います。その「仕組み」を単純に言えば、「微生物(もしくはミミズなどの生物)が食べて分解してくれる」ということ。バイオトイレも稲わらの堆肥も段ボールコンポストも、そして町の大きな生ごみ処理施設も、結局は同じ原理なのです。
そして素晴らしいことに、分解されて残ったモノは、必ず次の生物の糧となります。つまり、堆肥やコンポストが畑やプランターの植物、作物を生かしてくれるわけです。人糞や生ごみを直接プランターに入れると悲惨なことになります(!)が、微生物などに分解してもらったものなら大丈夫。マンションのベランダでだって問題なくなります。

これは、つまり自然界の縮図でもあります。
山の草木の枝や落ち葉、野生動物の死骸から糞までを虫や微生物が分解して土に還し、植物が生きる糧にする。すべてが無駄なく、意味を持ち、循環していく。それが自然の姿。堆肥やコンポストは、疑似的にそれを行うものなのです。

人糞から生ごみまで、そのままでは困りものの廃棄物を「生命の循環に還す」のが堆肥やコンポストであり、その役を担ってくれているのが微生物たちである、と知ることが、まずは重要なのでしょうね。

2011年7月16日土曜日

恵子ガーデン訪問

16日(土)午後のプログラムは、恵子(えこ)ガーデンの見学でした。恵子ガーデンは畑の講師である坂本一雄さんの農園です。

50年以上かけてつくられた農園は、約20aと農園としてはそれ程広くはないのですが、巧みに目をかけ手をかけられた美しい場所です。
堆肥も肥料も投入せず、もちろん除草剤や農薬も使用せず、除草も年に2度くらいしか行わないという坂本さんの農園は、「手をかけなくていいんです」とのご本人の言葉をにわかには信じがたいほど整然としています。参加者の方々からも感嘆の声が上がりました。
ただ、よく見ると確かに多種多様な虫などが生きていることがわかります。作物だけが存在するのでなく、虫や鳥など地域に生きる様々な野生生物をも取り込んだひとつの生態系になっている、ということなのかもしれません。

除草を実演する坂本さん(写真下)。地表数センチに伸びた段階で表面を「掻く」ようにして草を取る。大きくなり過ぎるとしっかり根が張っていて深く掘らないと取れませんが、その作業によって土の中の雑草の種をさらに地表に招くことになったり、微生物のつながりを壊すことになったりするとお話がありました。絶妙なタイミングで最少の手を加え、作物の成長を手助けしてあげる、これが坂本さんの実践する自然農です。


観察と研究を繰り返し50年以上かかってできた空間なのですから、簡単には真似できませんが、その技術や知恵を少しずつでも学びたいと坂本さんの言葉に耳を傾けたひと時でした。

2011年7月2日土曜日

柳のベッドづくり

さて、その後ガーデンはどうなっているでしょうか。ごろごろの土の塊の中に定植して活着が心配された苗たちも、ちゃんと根付いたようです。ここの土は粘土質で根が張りづらく、初期生長が遅いのが特徴ですが、一度根付いてしまえば一安心です。

今日は柳のベッドを作りました。まず焼き丸太杭を打ち込みます。実はこれが結構重労働。丸太の枠ができたらそれにはわせるように柳を一本ずつ前後に通し、編んでいきます。内側に防草シートを張り、タッカーで止めて、器ができたら中に砂利、堆肥(昨年から積んであったもの)、籾殻、黒土を入れました。あ、すでに背中が筋肉痛になりそう・・・。
高いベッド(レイズドベッド)は見た目に美しいだけでなく、腰を曲げなくても作業がしやすく、余計に土を踏みつけることなく管理できるメリットがあります。水やりに少し注意が必要ですが、一度根付いた植物はあまり問題ありません。今年は柳でフェンスやアーチにも挑戦しようとしているところです。

新しいレイズドベッドには、タイム、チャイブ、ローズマリーなどハーブのほか、かぼちゃやゴーヤ、ルバーブなどを植え込みました。せっかくの高さを利用してごぼうや大根などの根菜類も植えてみます。お花はブルーサルビアと日々草でおとなしめに。ちなみに日々草はアルカロイドを含み、抗癌薬の原料だそうです。






せっかくの可愛いガーデンがスギナに覆われないよう、週に1回はせっせとスギナを抜いています。実は私はこれが嫌いではありません。日々のあわただしい生活のリフレッシュとしてむしろ楽しんでいます。除草しながら野菜や花の状態もよくわかるし、黒いアマガエル(たぶん)や変わった色の毛虫を見つけたり、ガーデンの変化に気づく時間でもあります。それに、スギナは高血圧や心臓病にも効く健康食品。今年は会員さんがスギナを上手に乾燥させておいしいお茶の入れ方も研究しています。画期的な活用方法が見つかれば、除草も一転して収穫に変わるでしょう。