2011年5月28日土曜日

欧州エコビレッジに学ぶ環境テクノロジー

3月の震災以来、人びとの強い関心を集めている環境に負荷を与えないテクノロジー。今回はヨーロッパのエコビレッジで実践されている事例を見てみましょう。


まずはドイツのシーベンリンデンから。ここは人口100人規模のコミュニティですが、エネルギーをほぼ自給し、住民一人あたりの平均排出ニ酸化炭素の量がドイツ国民の平均と比べて3分の1以下だという報告があります。ソーラーパネルによる発電が主なエネルギー源ですが、北ドイツの気候で住宅の屋根に設置したパネルだけでそんなに生産できるのかなと思いませんか?それが適う理由は想像を超えて徹底した節電の暮らし方にあります。3階建てのストローベールハウスを(左写真)なんと電力を使わず2年かけて建設したそうです。自称環境過激派の彼らは、食べ物も動物性のものは一切とらないなど、そのこだわりぶりはすごいです。自ら「ドイツ人だからね」と苦笑していましたが、やっぱりそういうことなんでしょうか・・・。
感心する点は、ストイックにミッションを貫くだけでなく、フレキシブルに対応する合理性やオープン性も持ち合わせており、たとえば子どものいる家族は早く住居がほしいというニーズに合わせて電動工具も市販の建材も使っていますし、ビレッジの計画に当たっては、10年近くを費やして、地元の行政職員や大学の研究者、専門家を招いて公開しながら策定しました。近隣住民や行政ともうまくつきあう努力を重ねています。

スコットランドのフィンドホーンは人口規模400~500人。スピリチュアルコミュニティや成人教育で有名な老舗のエコビレッジですが、エコハウジング、風力発電によるエネルギー自給(全体需要の4割を提供)、コミュニティバスの運行などトータルな環境共生型の住宅開発でも評価を得ています。右の写真は私が2006年にEDE(エコビレッジデザイン講座)を受けたときに4週間宿泊した建物です。屋根の緑化は断熱効果を高めるもの。生物の生息空間にもなり、見た目にも可愛らしいですね。 屋根に水仙やギョウジャニンニクが植栽されていたのには驚きました。


下の写真はリビングマシーンと呼ばれる汚水浄化システム。植物の根に付着する微生物が汚水中の有機物を分解してくれ、ヘドロのような水がタンクを一周してくるうちに臭いも色もなくなっています。もちろん飲み水にはなりませんが、このようなグレイウォーター(再利用水)の利用場面はたくさんあります。
北海道は水資源が豊かなせいで、節水を心がける習慣がないなと感じました。


ウェールズにあるCAT(Centre for Alternative Technology)は、日本でもたびたび紹介されるエコセンターです。


もともとは1960年代後半にエコビレッジとして誕生したものが、80年代になって方向転換をし、環境テクノロジーの研究・育施設として再生しました。今ではほとんどの職員は近くの村から通い、敷地内に住んでいるのはボランティアや研修生だけになっています。交通アクセスの悪い片田舎に位置するにも関わらず、一時期は年間8万人のビジターが訪れ、地球環境問題について学ぶ施設として小さな田舎町の経済にも貢献しているのが特徴です。最近の来場者数は下降気味ですが、大学などの研究機関との共同研究や大学院生の受け入れなどヨーロッパの環境技術をけん引する存在としてさらに成長しています。施設内の建物はどれも環境型の工法をデモンストレーションしており、トイレの汚水や生活雑排水もすべて敷地内で処理していることが一般の人にもわかりやすく表現されています。










このたびコモンハウスで購入したコンポストトイレはCATと同じデザインです。電力を使わず個体と液体を分離することでコンポスト化を早める仕組みは、下水のない農山村や震災などの非常事態にも有効です。以前自作したものは個液分離が上手にできなかったので、今回設置したGreenly森のトイレは期待しています。液体はそのまま薄めて液肥に、コンポストは材料の状態や温度湿度によっても変わるので実験をしながら様子をみる予定です。


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