2011年5月8日日曜日

持続可能な電気の話

今日のテーマは「持続可能な電気の話」。



講師は元北電職員で、現在は企業向けの環境コンサルタントを自営されている岩井尚人さんです。電気業界内部の話から、ご自身が自宅で行っている具体的なエコエネルギーの実践まで幅広く、質問があちこち飛び交う講義になりました。


札幌市内にある岩井さんのお宅はソーラーパーネルと小型風力発電と薪ストーブで、約3割の電気を自給されています。面白いのは生産した電気は売らずに蓄電し、北電分と自給分をコンセントで使い分けているところ。おかげで周囲が停電しても最低限の電気は確保できるそうです。

住宅街の限られた敷地では100%の自給は難しいし、自然エネルギーは確かに不安定だから大事な電源としては使えない。でも最低限の電力を自力で確保することで、完全な電力会社への依存から一歩自立への道を歩めるのです。「この電気は絶対必要」「これはそうでもない」と、必要な電気の量と質を改めて見直すことも大事ですね。ライフラインは北電にお願いし、なくてもそんなに困らない部分は自力で。家庭だけでなく、産業界含め社会全体でこの作業をやったら、どうしても24時間必要な電気量はかなり減らせるのではないでしょうか。


私も原発には反対です。最初から処理のできないとわかっているものを造るのは、コストや効率の問題云々の前に手を出してはいけないものだと思っています。ただ、原発問題について、放射能の危険性や、政界、経済界の汚さを糾弾することに終始し、自分たちは被害者面をして反対を唱える立場はとりたくありません。市民は本当に一方的な被害者でしょうか。もちろん、政治やマスメディアに動かされてきた面は大きく、あるいはもっと大きな力が背景にあるという予想も正しいのかもしれませんが、市民がその社会に依存してきた事実も明らかです。そして今なお多くの市民が「便利な生活のためには仕方ない」と思っていることも。それに、反対運動が、もし自分の安全を守るだけの視点で行われるなら、他国の人びと(特に貧しい国の人びと)にその負担がいく危険性があります。

原発を止められるかどうかは、私たちが次のビジョンを描けるか、そしてその行動を起こせるかどうかにかかっているでしょう。

岩井さんは「反対を目標にしてスタートしても動かない。仕組みを変えることで生活を変えなくても減らせる電気、工夫で楽しく減らせる電気はたくさんある。これまで両手で北電の電気にぶらさがっていたものを片手だけ離すことができるようになり、次の段階としてネットワークにより地域で自立できるようになっていけば、結果的に原発は要らなくなる」と言われました。


持続可能はエコビレッジのテーマ。食と同様、エネルギーもその柱の一つとして、できる限り自給する、残りは周囲とネットワークしながら得ていくことで、地域単位で自立するスタイルを創っていきたいと思います。



さて、午後の畑コースではその食の自給について追及します。今回のメインテーマは『土』。参加した方々の「土のイメージ」や「土にかんする知識」などを交流した後、いつものように坂本一雄先生のお話を聴きました。土に対して多くの方が、「母なる大地」というイメージを持っていますが、おおむね漠然としたイメージでしかありません。「大地(土)は母」、それが実際どのようなことなのか、ご自分の経験を踏まえながら具体的な解説をされる坂本先生のお話に、みなさん「なるほど」という表情で耳を傾けていました。森林の成り立ちや人間の作った畑のあり方。どのように(何によって)土が作られていくのか。化学肥料や農薬が土に与えるダメージについて。有機栽培と自然農法の「考え方の違い」等々・・・。


坂本先生の畑は、有機質の肥料や堆肥すら使用していません。少量の干し草を土を被覆する「資材」として使うのみです。土を肥やすため、また植物に与える「肥料」ではなく、「資材」として使うという点が、今回のポイントであったのかもしれません。坂本さんの「干し草で(森林に近い)木漏れ日をつくる」という表現に、参加した方々も深くうなずいていました。みなさん、土に生息する小さな小さな生き物たちの視点になっていたのではないでしょうか。



実習は、予定していたイモの植え付けが雨続きで土が乾かないためにできず、キヌサヤとインゲンの播種のみを行いました。作付け準備が思うように進まない今年の春。近所の農家さんも嘆いています。月に1~2回しかない畑の実習日が天気によって左右されるのは、仕方ないこととわかっていても困りものです。今日行えなかった作業は、後日臨時で集まっていただくことにしています。

0 件のコメント:

コメントを投稿