2010年9月1日水曜日

0829 「木の花ファミリー」からゲストを招いて公開講座

今月の公開講座は、静岡の「木の花ファミリー」から古橋道代さんをお招きしました。

木の花ファミリーでは約70人が生活を共にし、食については調味料含めほぼ完全に自給自足しています。もちろん有機です)農産物や各種加工品を宅配や市場で販売して収益を得ており、収入は全員で均等配分します。一つの財布で生活全体を分かち合い、育児や教育も家族単位ではなく、コミュニティの子どもとして育てられるなど、文字通り大きな家族として暮らしている様子に驚嘆しました。古橋さんはエコビレッジにとってもっとも大切なことはグルー(共通の価値)が明確でメンバー間で共有されていること、木の花では協調の精神と自然と共生する生き方がそれだと言います。

私有財産がほとんどない共産的な仕組み、毎晩行われる会議などは一般の人びとには極端と映るかもしれません。自我が強く、欲求が多い私などは、正直言って、自分のお金はともかく自分の時間がないことに耐えられないだろうなあと感じました。しかし、出資額や能力に関わらず、対等な関係を保ち、それぞれが満足してかつ団体としてまとまるためには、表面的な協調や依存関係では破綻するのは明らかです。実際、私が訪ねたヨーロッパのエコビレッジでも精神性で結ばれている団体、共有する部分が大きい団体ほど、規模も大きく長く存続しているという印象を受けました。逆に、自由度が高くエゴを認めようとする集団では、構成メンバーの入れ代わりが激しく、組織として安定性、発展性に欠ける傾向があります。真の信頼を築き、目標を遂行するためには、コミュニティに対する相当のコミットメントとネガティブな感情を含めて正直に表現しあえる関係性が不可欠なのだということもよくわかります
一方、緊密な関係性を目指すコミュニティでは閉鎖的になる側面もあります。木の花では、心をわずらった人を始め、一般ビジター誰に対してもウェルカムでオープンな姿勢がすばらしいと思いました。田畑の多くを無償で借りていること、新規就農者の研修の場にもなっていることから行政や地域住民とも良好な関係を保っていることが伺えます。

古橋さんはグローバル・エコビレッジ・ネットワークの日本代表やエコビレッジ・ジャパン・ネットワークの共同代表も務めており、国内外の事例にも通じており、今回は、埼玉の新しき村(武者小路実篤)のような古いコミュニティから、最近増えている建築家主導の都市型エココミュニティまで様々なレポートをしてくれました。ハード重視、ソフト重視、都市型、農村型、いろいろなタイプがあるようです。それぞれのメンバーの価値観や地域環境にあったものがそこここで立ち上がって、互いに支えあうことが望ましいのでしょう。

エコビレッジライフ体験塾では自給的生活やコミュニティに必要なスキルを学んだり情報を収集しながら、将来の実践に一歩ずつ前進したいと考えています。私は関わる人々が、創造の過程に、できるだけ最初の段階から主体的に参加し、メンバーのアイデアや希望を持ち寄った形で全体のビジョンを作りたいと思っています。私たちのグルーは何なのか、深く考えさせられた講座でした。

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