2010年8月1日日曜日

0725 循環型生活を支えるコンポスト

食べるものは無農薬や無添加にこだわる人は増えても、排出するものに意識する人はどのくらいいるでしょうか。「臭いものには蓋」が一般的な傾向ではないでしょうか。しかしながら、自然の循環サイクルには動植物の排泄物およびそれらを分解してくれる分解者(ミミズやダニなどの小動物、菌類などの微生物)が欠かすことのできない存在なのです。

水洗トイレが当たり前の時代、コンポストトイレなんて酔狂なヤツラの発想、と思われるかもしれませんが、人間の排泄物もところ変われば大切な資源。エコビレッジでは、コンポストトイレを循環型ライフの基礎として、排泄物を低コストで衛生的に処理するだけでなく、成果物を作物栽培に活用できる点に着目しています。江戸時代に人糞を売買して、畑で肥料にしていたことはよく知られていますが、あれこそ完璧な循環型のシステムだと言ってもよいでしょうね。これは家畜が少ない東アジア特有の畑作の知恵だったそうです。(北大大学院工学部船水教授)

もちろん、社会背景は江戸時代とは大きく異なるので、ただ逆戻りをしようと言っているわけではありません。近代化が進んだ21世紀には、それなりにインターフェースを考慮したデザインが必要だと思います。抗生物質など、昔はなかった問題も抱えています。人口密集地や不特定多数が利用する公共施設などには下水処理が必要なことは間違いないでしょう。しかし、農山村の家族利用や利用者の少ない夏季利用限定の施設などには、むしろ積極的に活用されるべきではないでしょうか。 最近では、市販のバイオトイレも各種出ていますが、上手に固体と液体を分けてコンポスト化を促進する仕組みができれば手作りでも十分いけます。(写真:自作固液分離便器)

今日はトイレの講義に引き続き、コンポストづくりの実習をしました。コンポストにはいろいろな仕組みがありますが、自分のライフスタイルや周囲の環境にあわせて応用しましょう。稲藁や米糠などの材料がふんだんにあり、敷地が広く、切り替えしの作業もできるならホットコンポスト(発熱型)が分解も早く、肥料としても高価値ですが、都市住民には材料もスペースも確保できないのが普通です。それでも、生ゴミは必ず出るはず。庭があればミミズコンポスト、なければダンボールでもコンポスト化は可能です。わざわざ遠くから材料を買ってこなくても身の回りにあるもので作るのがエコロジカルで長く続くコツです。

今日は昨年の稲藁、メノビレッジの鶏糞、田中豆腐店のおから、山からとった土、道端のコンフリー(ムラサキ科ヒレハリソウ属、コンポストの発酵促進剤として有効)で作りました。ラザニアを作るようにそれぞれの層を重ねて、最後に上から水をかけます。隣には昨年、同じように作ったものが山になっていますが、それも切り返してやりました。なかなかいい感じに分解して、きっとこの秋には畑へ入れられるでしょう。

ミズコンポストにも挑戦しました。コンポストに適しているのは、シマミミズという赤くて細いヤツです。ミミズ糞は、窒素、リン、カリの高バランスな肥料で、かつ多くの微生物を含むため、土壌の団粒化などを促進する土壌改良剤としても有効です。しかも、多孔質でガスを吸着するため臭いが発生しにくいという優れもの。土が乾燥しないように、またミミズの分解量を超えて生ごみを投入しないように気をつけます。
ミミズは一日に体重の半量の生ゴミを食べると言われ、微生物だけで有機物を分解しようとすると1ヶ月から半年、長ければ1年かかるのに、ミミズの体内で消化してもらうと1日でできあがるのです。ミミズってすごい!

0 件のコメント:

コメントを投稿